朝日・グレンデール訴訟を支援する会 Q&A

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『韓国・北朝鮮の嘘を見破る』(文春新書)

「従軍慰安婦は日本軍に連行された」と言われたら

西岡力

Q:女子挺身隊制度というのは慰安婦とは違うのですか?

A:女子挺身隊制度は、国家総動員法に基づき未婚の女子を動員した強制力のあ る制度だった。韓国では最近まで、慰安婦がこの制度により動員されたと信じら れていた。日本でも例えば朝日新聞は慰安婦の説明として「太平洋戦争に入ると 、主として朝鮮人女子を拠身隊の名で強制連行した」(平成4年1月11日付) などと書いており、いまだに訂正をしていない。しかし、制度上も実態でも、挺 身隊は軍需丁場などへの勤労動員であって慰安婦とは一切関係ない。


Q:強制連行をしたという人の証言がありますが?

A:連行した側の証言には、済州島で日本軍と一緒に女性狩りを行ったとする吉 田清治証言と千田夏光氏が著書『従軍慰安婦』の中で書いた関東軍参謀・故・、 原善四郎証言がある。吉田証言は秦郁彦教授の平成四年の現地調査によって信憑 性がないことが暴露されたが、その前に平成元年8月14日付の済州新聞は次の ようにでたらめだと断言していた。「(吉田の)本に記述されている、城山浦の 貝ボタン工場で15?16人を強制徴収したり、法環里などあちこちの村で行わ れた慰安婦狩りの話を裏付け証言する人はほとんどいない。島民たちはでたらめ だと一蹴しており、この記録に対する一層の疑問を投げかけている。城山里の住 人のチョン・オクタンさん(85歳)は「そんなことはなかった。250余世帯 しかない村で15人も徴用していったならば大事件だが(略)当時そんなことは なかった」と断言した」。なお、朝日新聞は昭和57年9月2日、平成4年1月 23日、同5月24日に吉田証言を詐しく伝えながら、いまだに訂正記事を出し ていない。テレビ朝日「朝まで生テレビ」平成5年9月の番組で吉田証言を詳し く伝え、いまだに訂正をしていない。

原参謀証言についても、千田氏は本の中では生前の原参謀に面会して「慰安婦を 8000人連行した」ときいたと書いているが、現代史研究家加藤正夫氏が千田 氏に原参謀の経歴などの誤りを問いただすと、実際は原参謀に面会してはいない 、別の書物の記述をもとにあたかも自分が面会したかのような嘘を書いたと認め た。千田氏が参考にしたという書物にも、原参謀自身の証言は出ておらず、何の 根拠もなく原参謀が慰安婦を連行したと書いているだけで史料価値はゼロだ。


Q:日本軍が関与したという公文書が見つかっていますが?

A:発見された公文書は、すべて民間業者が誘拐まがいの慰安婦募集を行うこと を止めさせることを目的として作成されたものぱかりで、軍や官憲が強制連行を していたことを証明する文書は一通もない。朝日新聞が宮沢首相の訪韓直前に吉 見義明教授が防衛庁保管文書の中から発見したと一面トップで報じた「慰安婦募 集に軍が関与していたことを示す」文書がその代表的なものだ。問題の文書は「 陸支密大日記」に綴じ込まれていた「慰安所従業婦等募集に関する件」の以下の ような文書だ。

「支那事変地ニ於ケル慰安所設置ノ為内地ニ於テ之カ従業婦等ヲ募集スルニ当リ 故ラニ軍部諒解等ノ名儀ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一般民ノ誤解ヲ招ク 虞アルモノ或イハ従軍記者慰問者等ヲ介シテ不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起スル 虞アルモノ或イハ募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ欠キ為ニ募集ノ方法誘拐ニ類シ警 察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少カラサルニ就テハ将来 是等ノ募集等ニ当リテハ派遣軍ニ於テ統制シ之ニ任スル人物ノ選定ヲ周到適切ニ シ其実施ニ当リテハ関係地方ノ憲兵及警察当局トノ連繋ヲ密ニシ以テ軍ノ威信保 持上並ニ社会問題上遺漏ナキ様配慮相成度依命通牒ス」

支那事変地における慰安所設置のため 内地においてこれが(これの)従業婦等 を募集するに当り いたずらに軍部諒解などの名儀を利用し ために軍の威信を傷つけ かつ一般民の誤解を招くおそれあるもの あるいは従軍記者、慰問者などを介して不統制に募集し社会問題を惹起するおそ れあるもの あるいは募集に任ずる者の人選適切を欠き ために募集の方法、誘拐に類し警察当局に検挙取調を受けるものある など 注 意を要するもの が少なからざるについては、 将来 これらの募集などに当っては 派遣軍において統制し 募集に任ずる人物の選定 を周到適切にして その実施に当たっては 関係地方の憲兵および警察当局との連繋を密にし 軍の威信保持上ならびに社会 問題上遺漏なきよう配慮相成たし 命により通牒す。

これを素直に読めば軍が警察と協力し、業者による強制連行を、犯罪とみなし止 めさせようとしていたことがよくわかる。


Q:元慰安婦の人の証言もありますが?

A:元慰安婦の証言については、日本政府が平成5年7月に実施した16人に対 する聞き取り調査報告がある。しかし内容は非公開とされており、その上「(日 本政府は)個々の証言を裏づける調査は行っておりません」(平成9年3月12 日参議院予算委員会・平林内閣外政審議室長答弁)と明言されている。これでは 史料価値はない。反面、韓国の安秉直・ソウル大教授が中心になって進めた聞き 取り調査は裏付け調査を行ない、「証言者が意図的に事実を歪曲していると感じ られるケース(は)調査を中断」するという原則を守り約5割の元慰安婦の証言 が不採用になった。安教授チームが採用した19人の証言の中、強制連行を主張 しているのは4人だが、そのうち2人は日本政府に補償を求める裁判の訴状では 人身売買と主張しており信憑性を欠く。また残りの2人は戦地ではなく民間の売 春施設があった富山と釜山の慰安所に強制連行されたと語っており、やはり信憑 性がない。つまり、強制連行を証明できる証言者は一人もいないということにな る。